
僕は特許や科学に関わる人間なので、法律と技術の多くの情報や知識を持っています。
その中で、今回はスマホカメラについてあまり知られていない面白い話を記事にしました。僕の過去記事をリニューアルしたものです。
ガス会社の廃棄物中にお宝発見
高性能なスマホのカメラに欠かせないのがカメラレンズです。
カメラレンズが高屈折率や低複屈折等の優れた性能がなければ、
スマホで綺麗な写真を撮ることはできません。
僕はカメラレンズの特許に関わった時に、カメラレンズで世界トップシェアを誇るのが日本のガス会社であることに驚きました。
実は、石炭からガスを生成する際の副生成物であるコールタール、ガス会社からすると廃棄物(ゴミ)のようなものです。
その中に、今やアイホンやアンドロイド等で用いられているカメラレンズがあったのです。廃棄物の中からダイヤモンドの原石発見なんて凄いですよね。
出典:価格.comのホームページより
カメラレンズの正体
昔は石炭からガスを生成していました。その過程で生成する廃棄物が真っ黒な物質「コースタール」です。真っ黒な物質の中に、あの美しい光学特性をもったカメラレンズの成分があるなんて誰も思いませんよね。
でも、大阪ガス、詳細には「大阪ガスケミカル」の若手研究者は、その存在に気づき、精製して取り出すことに成功したのです。その成分が「フルオレン」という物質です。
お宝「フルオレン」について
「フルオレン」は、現在の高性能なカメラには欠かせない高屈折率、高耐熱性、低複屈折等の光学特性に優れたレンズを作り出すことができる有用な物質です。
技術の詳細を説明すると難しくなりますので、イメージを言うと、スマホの画像や動画、液晶テレビを見たときに、例えばタレントの肌が綺麗かどうかって、最近鮮明にわかるから気の毒になりません??タレントはごまかせない時代になってきましたよね。
それはフルオレンのおかげと言っても過言ではありません。
カメラはレンズが命なのです。カメラ本体の性能が良くてもレンズが低レベルだと、綺麗な動画や写真を提供することはできません。
出典:大阪ガスのホームページより
カメラレンズだけじゃない!フルオレンは世界を変える!
大阪ガスケミカルはフルオレンを応用してもっと凄いものを作ったのです。
それは、フルオレンとセルロースとを組み合わせた「フルオレンセルロース」です。
セルロースは紙の主成分です。紙の主成分であるセルロースをむちゃくちゃ細かく裁断し、ナノオーダーのセルロースファイバーを作り、さらに、そのセルロースファイバーとフルオレンとを反応させて作ったのが「フルオレンセルロース」です。
出典:大阪ガスのホームページより
「フルオレンセルロース」は、鉄の5倍も強いのに、軽さは鉄の5分の1なのです!!
しかも、他のプラスチック(樹脂)と馴染みが良いので、色んなものに応用できます。
例えば、この材料で飛行機を作ったら、今よりも何倍も軽くてかつ頑丈な飛行機が作れます。そのため、飛行機の燃料を削減できるとともに、飛行機の寿命が長くなり得ます。そうなると、飛行機費用が大幅に安くなるかもしれません。
さらに、セルロースは紙の主成分で、もともと自然界に存在するものだから、いらなくなっても自然にかえることができます。すなわち、環境負荷が少なくエコなのです。
まとめ
大阪ガスケミカルは、石炭からガスを生成する際の廃棄物の中から、カメラレンズの成分「フルオレン」を発見しました。そのカメラレンズは今やみなさんが使っている多くのスマホに用いられています。
さらに、それを応用した「フルオレンセルロース」は、鉄の5倍も強いのに、軽さは鉄の5分の1であり、かつ他のプラスチック(樹脂)と馴染みが良いので色んなものに応用できます。例えば、それで飛行機を作ったら、飛行機の寿命を長くでき、かつ燃焼を低減できる可能性があるため、飛行機代が大幅に安くなるかもしれませんね。
将来、楽しみです。