ニトリはなぜ「お値段以上」の商品を提供できるのか・・・ そんな疑問をもった人がたくさんいるのではないでしょうか。 色んな理由がありますが、 その主な理由の1つをわかりやすく解説しました。
値段を吊り上げる日本の体制(アメリカとの違い)
みなさん、世界の売上高ランキング等を見て、違和感を感じたことはありませんか??
ご存知の通り、アメリカのウォルマートが首位なんですね。
日本ではトヨタ社がトップであり、メーカーが凄い!!というイメージが強いので、
チェーンストア(小売業)がトップであることに、僕は違和感を感じたことがあります。
実は、この違和感が日本とアメリカの産業の違いを
教示してくれているのです。
それを知るためには、
1929年の世界恐慌まで遡る必要があります。
アメリカの国民は、世界恐慌が起きた直後に、議会や行政よりも、生活必需品を日常提供するチェーンストアこそ、生活になくてはならない社会的インフラだと思い知ることになり、その影響で、チェーンストアの産業化を完成させていきました。
世界売上ランキングで、チェーンストアであるウォルマート社が首位であることからも、社会的インフラとして認識されていることは想像がつきます。
しかし、日本はどうでしょう。
日本は製造業(メーカー)が大きな権力を持ってしまった影響で、
チェーンストア等の小売り業に分類される企業は、製造業の下として扱われていませんか??
日本では、チェーンストアが社会的インフラとしては全く認識されていないのです。
実は、歴史を振り返るとその謎がすぐに解けます。
日本では、第一次産業革命まで、
モノの情報の流れは
生活者→商業→生産者(生産受注体制)となっていました。
つまり、商業は生活者のニーズとウォンツを提供するため、生産を生産者に依頼したのです。
しかし、第一次産業革命により、
生産者(材料製造業、原料製造業、製品製造業)が巨大化し、生産者、特に材料製造業が主導権を持つようになりました。
つまり、昔は生活者のニーズとウォンツに基づいて商品を提供していましたが、
モノの情報の流れが逆、すなわち、生産者→商業→生活者(見込み生産体制)となったことで、作る立場だけの利益追求型生産に変貌していったのです。
アメリカでは原則として受注生産体制であるため、製品製造業の加工段階において問屋・卸売業は介在しません。
しかし、日本では、見込み生産体制であるため、加工段階でそのつど問屋・卸売業が介在しています。
これは、アメリカでは、チェーンストア産業ができていて、仕様書発注しているのに対し、日本では製造業を主導とする生産体制のため、問屋・卸売業がそのつど介在することで在庫を調整しているからです。
以上に説明した通り、日本は、製造業が主導権を握ってしまったため、見込み生産体制であることから、問屋・卸売業が多く介在し、商品の値段が高くなってしまうのです。
ニトリはなぜ「お値段以上」の商品を提供できるのか
一言でいえば、
ニトリは、「製造物流小売業」だからです。
ほとんどの製品を自社開発し(製造)、
海外の工場で生産してから店舗に並ぶまでの過程を自社で行い(物流)、
全国の店舗で商品を販売(小売)しています。
このように、製造業が権力を握る日本において、
ニトリは、製造、物流、小売りをすべて自社で行っているため、問屋・卸売業が介在しません。
また、自社で販売しているため、受注生産体制が簡単に実現できるのです。
これが、ニトリが安くて、お値段以上の商品を提供できる1つの理由なのです。